★石州和紙の特徴★
|
石州楮紙 |
|
楮の靭皮繊維の長さは平均10ミリ程度で長く絡みやすい性質をもち、強靭です。出来上がった楮紙も強靭で、揉んだり、折ったりしても用紙などとは比較にならないほど丈夫です。石州和紙の7割が楮紙です。ちなみに木材パルプの紙は、長さがせいぜい1ミリ程度です。 |
石州三椏紙 |
|
三椏の靭皮繊維の長さは平均4ミリ程度。強靭性ではやや劣りますが、繊細で弾力性があり、光沢があります。出来上がった三椏紙は紙肌が柔軟で滑らかで温雅な光沢を持ち、書道用紙や印刷用紙等に適します。 |
石州雁皮紙 |
|
雁皮の靭皮繊維の長さは平均3ミリ程度で半透明で光沢があり、粘着力があります。出来上がった雁皮紙は光沢があり、最も繊細で湿った状態でも丈夫であり、虫の害にも強い特性があります。 |
★石州和紙が出来るまで★
|
1、原料(楮)栽培 |
|
|
石州和紙の原料は、楮・三椏・雁皮です。楮・三椏は地元で栽培されたものを使用し、雁皮は野生のものを使います。石州楮で作られた石州半紙はとても強靭な和紙です。 |
|
2、原木刈り取り |
|
原木の刈り取りは12月から1月に行い、鎌で斜めに切っていきます。 |
3、原木裁断 |
|
刈り取った原木は、1mくらいに揃え「押し切り」で切ります。 |
4、原料蒸し |
|
|
水少人数でも作業しやすいように「せいろ蒸し」の方法で蒸気によって蒸します。木の芯と表皮が剥がれやすくなります。 |
|
5、木口叩き |
|
根元を槌で叩き、原木と表皮を分離しやすくします。 |
6、原木剥ぎ |
|
片方の手で原木、もう片方で表皮を持ち、足に挟んで先が筒状になる方法で剥ぎ取ります。 |
7、黒皮乾燥 |
|
|
剥いだ黒皮は束にして、自然の風に当てて乾燥します。十分に乾燥した後、貯蔵します。 |
|
8、黒皮そぞり |
|
|
黒皮を半日ほど水につけ柔らかくした後、そぞり台の上にのせ、包丁によって一本一本丁寧に表皮を削ります。楮においては強靭さを出すために表皮と白皮の間のあま皮部分を残します。 |
|
9、水洗い |
|
|
そぞった白皮を清水の中でていねいにふるい、不純物を洗い流します。 |
|
10、煮熟 |
|
|
煮釜に水を入れ、水量に対し12%のソーダ灰を入れ、沸騰後原料をほぐしながら入れていきます。30分ごとに上下にむらができないようにひっくり返し、2時間ほど煮ます。そして蒸らします。 |
|
11、塵取り |
|
|
煮終えた原料を清水の中で一本一本付着している塵などをていねいに取り除いていきます。楮の場合は灰汁抜きをしながらこの作業を行います。 |
|
12、叩解 |
|
硬い木盤の上に原料を乗せ、樫の棒で入念に叩き繊維を砕きます。石州では「六通六返し」の方法で左右六往復し、上下六回返します。、 |
13、抄造 |
|
|
漉き舟に水と紙料・トロロアオイを入れ、まぜ棒によって均等に分散させます。石州和紙は数子(かずし)・調子(ちょうし)・捨水(すてみず)の3段階の工程が基本になります。 |
|
14、数子 |
|
|
素早く漉き舟の紙料をすくい上げ、簀全体に和紙の表面を形づけます。 |
|
15、調子 |
|
紙料を比較的深くすくい上げ、前後に超調子をとりながら、繊維を絡み合わせ和紙の層をつくります。回数によって厚さが異なります。 |
16、捨水 |
|
目的の厚さになれば、簀の上に残った余分な水や紙料を一気にふるい捨てます。 |
17、紙床移し |
|
|
漉き上げられた簀の上の和紙は水を切った後、紙床台へ移動します。紙床台の上に一枚一枚ていねいに重ねていきます。一日250枚以上を漉き上げます。 |
|
18、圧搾 |
|
|
漉き上げられた紙床は一晩放置し、圧搾機によって徐々に圧をかけながら絞っていきます。 |
|
19、紙床剥がし |
|
よく絞られた紙床を一枚一枚剥がしていきます。 |
20、干板貼り |
|
剥がされた湿紙を刷毛を使い、銀杏の干し板に貼り付けます。 |
21、乾燥 |
|
|
貼り終えた干し板を天日によって乾燥します。日時がたつにつれて和紙に張りがでて、腰のある美しい和紙に仕上がります。 |
|
22、選別 |
|
乾燥された和紙を一枚一枚手にとって入念に選別し ます。厚さ、むら、破れ、傷跡、塵などを取り除きます。選別し終えた和紙は、用途別に裁断を行い和紙製品を仕上げます。楮紙・三椏紙・雁皮紙の一枚ものか ら、重要無形文化財の石州半紙をはじめ画仙紙、書道用紙、染め紙、封筒、便箋、葉書、名刺、色紙、和帳、巻紙、その他多種多様の製品があります。 |